心は熱く、頭は冷静に!ペースだけではなく、感情もコントロール!

1ヶ月ほど前にフルマラソンで犯すミスを書きましたが、ランニング教室やランニングクリニック、はたまた個別サポートでも聞かれるペース配分について、今回は長々と書いてみようかと思います。
長くなってしまいますが興味がある方は最後まで一読ください。

姫路城マラソン完走!フルマラソンで犯すミスを確認してきました。

【 上記のリンクから抜粋 】
① 練習ができていないのに高い目標設定をする。
② 調子が良いと錯覚してしまう。
③ 実力以上のペースや無理なペースアップをする。
④ 周りに流されて走ってしまう。
⑤ 防寒対策を早々に破棄しまう。
⑥ コース図を鵜呑みにしてしまう。
⑦ コースの位置取り、蛇行、コースの横断。

① ~ ④ はレース当日までの問題。
⑤ や ⑥ はコース情報への対策ミ。
⑥ と ⑦ は目から入る情報への判断ミス。

ですが、今回は①と③と④についてです。

① 練習ができていないのに高い目標設定をする。
③ 実力以上のペースや無理なペースアップをする。
④ 周りに流されて走ってしまう。

この3つは大会へ出場して走るときでも練習で走るときでも大事なことで、大会であれば7割8割の距離ぐらいから大幅な失速へとつながりますし、練習であれば身体のどこかを痛めてしまう原因になります。

目標を設定して練習へ取り組むことは良いことだと思うのですが、自分の現在のレベルを把握することができてこそ大会での目標設定や練習での目標設定が具体的なものになってくると思います。
旅行で例えるとしたら目的地を設定したのまでは良いのですが、何となくそっちの方向へ進み始めた感じでしょうか。いつかはその状態でも目的地へ着くことは可能だとは思います。でも、途中で道に迷ってしまったり、目的地へ到着することができずに帰路につくことになり…(帰路につこうにも道が分からない)。なんてことになることが想像できますよね。

ということで少し反省タイム。

FacebookやTwitterなどのSNS上で後半になって大きく失速をしてしまった人が「走り込みが足らなかった!もっと走り込もう!」と書いているのを見たことがある人もいるはずです。また、「俺もそうだ!」「私もなるなぁ。」と思っている人もいるはずです。

でも、ちょっと待ってください。
最後まで走り切れてゴールをすることはできてますよね?ということは足りないのって…
簡単に「走り込みが足りなかった!」と述べてしまうのは大会のことをしっかりと反省できていないのではないでしょうか。

課題としては「後半になるとなぜ失速してしまうのか。」ですが、その原因が「走り込み」ではなく「ペース配分」ということも十分に考えることができますよね。むしろ、「ペース配分」が原因なのではないのかと。
そうなってくると「目標に対して練習時にペース配分への対策ができていたか」であって、「走り込んだ距離」というのはまた別の話になります。途中で力及ばずに棄権してしまったのであれば「走り込みが足りなかった」のかもしれませんが。「走り込んだ距離」が課題なのであれば、これまで練習をしてきた方法に効果がなかった可能性もあり、これまで以上に走り込む量を増やすようでは「ペース配分」に対しての対策が何も変わっていませんよね。

もし、この課題が反省点として挙がってくるのであれば、次に大事になってくるのは「目標へ対するペース配分を覚える」ことです。
目標タイムへ到達するためには1kmずつのタイムを積み重ねることが必要であって、この1kmずつのタイムがしっかりと守れていないと目標タイムへの到達は難しいものになってしまいます。
多くの方が目標タイムをクリアするためには1kmをどのぐらいのペースで走らないといけないかを調べているとは思いますが、km表示を越えるたびに腕時計を見て「あぁ!速すぎた!」「あれ?遅くなってしまった。」と、ペースの大きな変動ができてしまうことも多々あるはずです。そのペースが自分自身にとってどれだけの力加減なのか、その力加減で最後まで走り切ることができるのかを把握できていないからこそ、思っている以上に速過ぎたり落としすぎたりということの原因になっているのではない出ようか。結局は自分が目標ペースで走ろうとするとき、「どれぐらいの力加減で走ればいいのかを把握できていない」ということです。
この状態で練習をすると目標に対して高負荷な設定を自分自身に課すことになり、その高負荷に耐える準備が整っていない身体が悲鳴を上げて身体のどこかが痛くなってしまい、ひどい場合には走ることもままならないほどの痛みを伴うことになります。その次に考えられるのは、痛みがひどく走れていない期間があったのにもかかわらず「足を痛める以前はこのペースで走れていた。」と身体が鈍っているのに更なる高負荷を身体に与えることになります。ある高負荷が原因で身体を痛めてしまったのに、身体が前以上に動かない状態で以前と同じ高負荷をかけると、また同じ場所を痛めてしまうことになりますよね。

そうなってくると大事なことは自分のイメージした動き(速さ)と実際の動き(速さ)に違いがあること。③の「実力以上のペースや無理なペースアップをする。」というのはこういう感覚のズレにあります。

また、これは④の「周りに流されて走ってしまう。」にも当てはまります。
自分の中で最後まで走り切れるであろうペースで走ることができていれば、スタート直後の周りのランナー達の思っているよりも速いペースに流されることなく、実力以上のペース配分や無理なペースアップをしてしまうといったレース展開にはならないはずです。

③の「実力以上のペースや無理なペースアップをする。」や④の「周りに流されて走ってしまう。」を犯さないために自分自身の中でペース配分やペースへの感覚が養ってくると、①の「練習ができていないのに高い目標設定をする。」は必然的になくなっていきます。
「これぐらいの距離なら練習では〇〇分ペースで走れた。」ということを積み重ねていけば、大会で走ろうとしている距離に対してペース配分や力加減が備わってきていますので、「練習通りに走れば大丈夫!」という安心感から緊張もすることがなくなってきますし、緊張をすることがなくなってきたら持っている自分の能力を最大限に発揮することもできます。
それ以外にも足を痛めてしまって練習ができない期間などがあった場合に、練習ができていない期間があったことや現状の走れる感覚から大会で走れそうなタイムも想像ができるようになっていますので、大会中に無理なペース配分で走るということもなくなってきます。

そうなってしまえば大会で思い描いたタイム(自己ベストなど)で走ることも、よほどのことがなければ簡単に達成できるようになります。
たぶん、「簡単にって言うけど…」と思う方々もいるかもしれません。いや、そう思っている方々がほとんどだと思います。ですが、大会で同じようなレース展開をしてしまい、毎回同じような反省点が浮かんでくる方々は一度試されてみてはどうでしょうか?
練習はどれもすぐに効果が出るようなものではありませんので、初めは不安かもしれませんが継続していくことで自然とその感覚が身についていくはずです。

「心は熱く!頭は冷静に!」を身につけていくことで大会での失敗も減っていきますし、練習中のオーバーワークから故障(ケガ)へとつながる可能性も減っていきますよ。
「自己ベストを更新したい!」「レースで失敗したくない!」という熱い気持ちは選手として走っていたこともあるので理解できます。ですが、自分の思い描いた結果を残したいのであれば常に頭は冷静でなければいけません。
うまくこれらの感情もうまくコントロールをしてレースへ挑んでいただければと思います。

心は熱く!頭は冷静に!